食事療法
最も効果的で、最も基本となる治療方法です。しかしながら、糖尿病の食事療法を始めるにあたり多くの方は、「我慢しなければならない」「甘いものが食べられない」「お酒も飲めない」などなど、楽しみを奪われるという印象を持たれるかと思います。糖尿病の食事は難しくて大変というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、糖尿病で食べてはいけない食品は特にありませんし、頑張るべきポイントさえおさえていただければ、思った以上の効果がでることも多いです。
当院では、
- 食べる量を欲張りすぎないこと
- 間食はしないこと
- 食べる順番を考えること
以上の3点を強調して指導させていただいております。
①の食事量については、糖尿病の食事は「我慢」や「制限」といったイメージが先行するかとは思いますが、糖尿病の方でも普通には食べていただいて大丈夫です。「何を食べては駄目か」ではなく、「何をどれだけ食べたら良いか」を把握しながら治療することが大切です。毎日の食事でご自身の体重がどのように変化したかを意識し、太らない範囲で楽しむようになさってください。
②の間食については、お菓子や甘いものがいけないのではなく、要は食べるタイミングが問題なのです。同じカロリーでも間食で摂るのと、食事直後に摂るのでは、血糖の上がり方に違いが大きくでてきます。
③の食べる順番については、まずはサラダなどの野菜を先に食べて、その後に蛋白質・脂質などのおかず、それからご飯・パン・麺類などの炭水化物の順番で食べるようにし、デザートは最後に摂っていただくと、血糖値の上昇を抑える上手な工夫となります。
食べ過ぎは良くないので、1回の食事を抜いてしまう欠食を考える方もいらっしゃいますが、次の食事の際に血糖値が上がりやすくなりますので、お勧めできません。
糖尿病の食事療法に関する誤解は意外と多くみられますので、頑張っているのになかなか成果が得られないという方は、正しい知識の基に取り組むことも大切です。『我慢』ではなく、上手に『工夫』して、より良いコントロールを目指していきましょう。
運動療法
食事療法と同様、大切な治療方法です。運動をすることは、単にエネルギーを消費して血糖を下げるだけでなく、エネルギーを燃焼する代謝を良くする潤滑油の役割もあります。したがってまとめて行うよりも、できる時にこつこつ行う方が効果的です。エスカレーターを使わないで階段を使うなど、普段の生活の中でちょっとした運動を心掛けることが大切です。少し時間がある時に、少しでも体を動かしてみる、そんな頑張りが皆さまの血糖値を思った以上に良くしてくれるはずです。
ただし合併症がある場合は運動が制限されることもありますし、お薬(飲み薬やインスリン注射)で治療している場合の注意点などもありますので、該当する場合には運動の種類・時間・回数などにつき、医師または療養指導士とよくご相談ください。
薬物療法
糖尿病の薬物療法には、飲み薬とインスリン注射があります。1型糖尿病では、生存のためにインスリン注射が必須です。2型糖尿病では、食事療法や運動療法だけでは改善されない場合、飲み薬やインスリン注射を使います。お薬は最低限に留めるというのは私も賛成ですが、お薬の力を借りた方が良い場合には上手に使って、合併症を起こさずに元気な毎日が過ごせることも大切と思います。また最近の薬は副作用がとても少ない良い薬が多いので、必要以上に身構えずに、まずは医師とよくご相談ください。
また当院では、入院しなくても外来に通院しながらインスリン注射を始めることができます。インスリンにはいろいろな種類がありますので、注射をするタイミングや回数はご自身にあった方法を選択することが可能です。当院では糖尿病専門医が診療にあたっており、お一人お一人に最も適したインスリンの種類および注射の回数をご提案いたします。